アルツハイマー型認知症 脳の病気 認知症

アルツハイマー型認知症の診断

2024年3月7日

診断基準について

当初は、ADの診断は認知症の証明と、他の認知症疾患の除外によって行われた。

1984年発表のNICDS-ADRDAの診断基準が発表され、2007年にDuboisらによるNINCADS-ADRDA診断基準の研究用改訂版を経て2011年、米国国立老化研究所 National Institute on Aging (NIA)とアルツハイマー協会 Alzheimer's Association (AA) により、NIA-AA診断基準が提唱された。

NIA-AA 診断基準

まず、以下が認知症の診断基準である

NIA-AAによる認知症診断基準の要約

  1. 仕事や日常生活の障害
  2. 以前の水準より遂行機能が低下
  3. せん妄や精神疾患ではない
  4. 病歴と検査による認知機能障害の存在
    • 患者あるいは情報提供者からの病歴
    • 精神機能評価あるいは精神心理検査
  5. 以下の2領域以上の認知障害や行動の障害
    • 記銘記憶障害
    • 論理的思考、遂行機能、判断力の低下
    • 視空間認知障害
    • 言語機能障害
    • 人格、行動、態度の変化

続いて、NIA-AAによるdementia due to ADの診断基準です

NIA-AAによるdementia due to ADの診断基準

  • ほぼ確実なAlzheimer型認知症
    • 認知症があり
      • 数ヶ月から年余に緩徐進行
      • 認知機能低下の客観的病歴
      • 以下の1つ以上の項で病歴と検査で明らかに低下
        • 健忘症状
        • 非健忘症状:失語、視空間機能、遂行機能
      • 以下の所見がない場合
        • 脳血管障害
        • Levy小体型認知症
        • behavioral variand FTD
        • 進行性失語症 (semantic dementia, non-fluent/agrammatic PPA)
        • 他の内科・神経疾患の存在、薬剤性認知機能障害
  • ほぼ確実性の高い Probable Alzheimer型認知症
    • 認知機能検査の進行性低下例、原因遺伝子変異キャリアー
  • 疑いのあるAlzheimer型認知症
    • 非定型な臨床経過
    • 他疾患の合併例
      • 脳血管障害
      • Lewy小体型認知症
      • 他の神経疾患や内科疾患、薬剤性
  • Alzheimer病病理が存在するほぼ確実なAlzheimer型認知症
    • 脳Aβ蓄積のバイオマーカー: CSF Aβ42低下、アミロイドPET陽性
    • ⒉次性神経変性や障害のバイオマーカー
      • 脳脊髄液総タウやリン酸化タウ増加
      • 側頭・頭頂葉の糖代謝低下(FDG-PET)
      • 側頭・頭頂葉の萎縮(MRI統計画像処理)
  • Alzheimer病病理が存在する疑いのあるAlzheimer型認知症
    • 非Alzheimer型認知症の臨床診断
    • バイオマーカー陽性かADの脳病理診断

以上の診断基準に加え、DSM-5の診断基準もある

2013年に19年ぶりに改定されたDSM-5は以下の通りである

DSM-5

DSM-5によるADの診断基準

  • 認知症の基準を満たす
  • 1つまたはそれ以上の認知領域で、障害は潜行性に発症し緩徐に進行する(認知症では、少なくとも2つの領域が障害されなければならない)
  • 以下の確実なまたは疑いのあるアルツハイマー病の基準を満たす
    • 確実なアルツハイマー病は、以下のどちらかを満たしたときに診断されるべきである。そうでなければ、疑いのあるアルツハイマー病と診断されるべきである
      • 家族歴または遺伝子検査から、アルツハイマー病の原因となる遺伝子変異の証拠がある
      • 以下の3つすべてが存在している
        • 記憶、学習、および少なくとも1つの他の認知領域の低下の証拠が明らかである(詳細な病歴または連続的な神経心理学的検査に基づき)
        • 着実に進行性で緩徐な認知機能低下があって、安定状態が続くことはない
        • 混合性の病因の証拠がない(すなわち、他の神経変性または脳血管疾患がない、または認知の低下をもたらす可能性のある他の神経疾患、精神疾患、または全身性疾患がない)
  • 障害は脳血管疾患、他の神経変性疾患、物質の影響、その他の精神疾患、神経疾患、または全身性疾患ではうまく説明されない

アルツハイマー型認知症の検査はこちら

ATNシステム

A: アミロイドのバイオマーカー  髄液アミロイドβ1-42の低下、アミロイドPET

T: タウのバイオマーカー  タウPET

N:神経細胞障害のバイオマーカー  髄液の総タウの上昇、FDG-PETの代謝低下、MRIでの脳萎縮

このシステムでは、認知症の有無にかかわらず、細胞外のアミロイド斑(A)と細胞内の神経原線維変化(T)がADの病理組織学的特徴となる

-アルツハイマー型認知症, 脳の病気, 認知症