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診断基準について
当初は、ADの診断は認知症の証明と、他の認知症疾患の除外によって行われた。
1984年発表のNICDS-ADRDAの診断基準が発表され、2007年にDuboisらによるNINCADS-ADRDA診断基準の研究用改訂版を経て2011年、米国国立老化研究所 National Institute on Aging (NIA)とアルツハイマー協会 Alzheimer's Association (AA) により、NIA-AA診断基準が提唱された。
NIA-AA 診断基準
まず、以下が認知症の診断基準である
NIA-AAによる認知症診断基準の要約
- 仕事や日常生活の障害
- 以前の水準より遂行機能が低下
- せん妄や精神疾患ではない
- 病歴と検査による認知機能障害の存在
- 患者あるいは情報提供者からの病歴
- 精神機能評価あるいは精神心理検査
- 以下の2領域以上の認知障害や行動の障害
- 記銘記憶障害
- 論理的思考、遂行機能、判断力の低下
- 視空間認知障害
- 言語機能障害
- 人格、行動、態度の変化
続いて、NIA-AAによるdementia due to ADの診断基準です
NIA-AAによるdementia due to ADの診断基準
- ほぼ確実なAlzheimer型認知症
- 認知症があり
- 数ヶ月から年余に緩徐進行
- 認知機能低下の客観的病歴
- 以下の1つ以上の項で病歴と検査で明らかに低下
- 健忘症状
- 非健忘症状:失語、視空間機能、遂行機能
- 以下の所見がない場合
- 脳血管障害
- Levy小体型認知症
- behavioral variand FTD
- 進行性失語症 (semantic dementia, non-fluent/agrammatic PPA)
- 他の内科・神経疾患の存在、薬剤性認知機能障害
- 認知症があり
- ほぼ確実性の高い Probable Alzheimer型認知症
- 認知機能検査の進行性低下例、原因遺伝子変異キャリアー
- 疑いのあるAlzheimer型認知症
- 非定型な臨床経過
- 他疾患の合併例
- 脳血管障害
- Lewy小体型認知症
- 他の神経疾患や内科疾患、薬剤性
- Alzheimer病病理が存在するほぼ確実なAlzheimer型認知症
- 脳Aβ蓄積のバイオマーカー: CSF Aβ42低下、アミロイドPET陽性
- ⒉次性神経変性や障害のバイオマーカー
- 脳脊髄液総タウやリン酸化タウ増加
- 側頭・頭頂葉の糖代謝低下(FDG-PET)
- 側頭・頭頂葉の萎縮(MRI統計画像処理)
- Alzheimer病病理が存在する疑いのあるAlzheimer型認知症
- 非Alzheimer型認知症の臨床診断
- バイオマーカー陽性かADの脳病理診断
以上の診断基準に加え、DSM-5の診断基準もある
2013年に19年ぶりに改定されたDSM-5は以下の通りである
DSM-5
DSM-5によるADの診断基準
- 認知症の基準を満たす
- 1つまたはそれ以上の認知領域で、障害は潜行性に発症し緩徐に進行する(認知症では、少なくとも2つの領域が障害されなければならない)
- 以下の確実なまたは疑いのあるアルツハイマー病の基準を満たす
- 確実なアルツハイマー病は、以下のどちらかを満たしたときに診断されるべきである。そうでなければ、疑いのあるアルツハイマー病と診断されるべきである
- 家族歴または遺伝子検査から、アルツハイマー病の原因となる遺伝子変異の証拠がある
- 以下の3つすべてが存在している
- 記憶、学習、および少なくとも1つの他の認知領域の低下の証拠が明らかである(詳細な病歴または連続的な神経心理学的検査に基づき)
- 着実に進行性で緩徐な認知機能低下があって、安定状態が続くことはない
- 混合性の病因の証拠がない(すなわち、他の神経変性または脳血管疾患がない、または認知の低下をもたらす可能性のある他の神経疾患、精神疾患、または全身性疾患がない)
- 確実なアルツハイマー病は、以下のどちらかを満たしたときに診断されるべきである。そうでなければ、疑いのあるアルツハイマー病と診断されるべきである
- 障害は脳血管疾患、他の神経変性疾患、物質の影響、その他の精神疾患、神経疾患、または全身性疾患ではうまく説明されない
ATNシステム
A: アミロイドのバイオマーカー 髄液アミロイドβ1-42の低下、アミロイドPET
T: タウのバイオマーカー タウPET
N:神経細胞障害のバイオマーカー 髄液の総タウの上昇、FDG-PETの代謝低下、MRIでの脳萎縮
このシステムでは、認知症の有無にかかわらず、細胞外のアミロイド斑(A)と細胞内の神経原線維変化(T)がADの病理組織学的特徴となる